妊娠中、基礎体温を測るたびに「この体温は正常なのだろうか」「高温期がずっと続いているけど大丈夫?」と気になる方は多いのではないでしょうか。
体温の変化は妊娠の経過を知るうえで大切なサインのひとつです。この記事では、妊娠中の高温期・体温について、しくみからよくある疑問、日常での体温管理まで、できるだけわかりやすく解説します。
妊娠と高温期のしくみ
基礎体温は、月経周期に合わせて「低温期」と「高温期」のふたつのフェーズを繰り返します。排卵後に黄体ホルモン(プロゲステロン)の分泌が増えることで体温が上昇し、いわゆる「高温期」に入ります。
妊娠が成立すると、受精卵が子宮内膜に着床するために黄体がそのまま維持され、プロゲステロンの分泌が継続します。そのため、通常であれば月経前後に体温が下がるところ、妊娠中は高温期が続くというわけです。
妊娠初期(およそ妊娠12〜16週ごろまで)は、黄体から胎盤へとプロゲステロンの産生が引き継がれる移行期にあたります。この時期を過ぎると、徐々に体温が平常に近い水準に戻っていくことが多いとされています。
妊娠中の体温の目安
高温期の一般的な範囲
妊娠中の高温期は、個人差はあるものの、一般的に36.7℃〜37.2℃前後で推移することが多いとされています。37℃台が続いていても、それだけで異常とはいえません。
ただし、体温には個人差があり、普段から体温が低めの方と高めの方では「高温期」の絶対値も変わってきます。大切なのは自分のベースラインと比較することです。
体温が落ち着いてくるタイミング
妊娠12〜16週ごろに胎盤が完成(完成時期には個人差があります)してくると、体温が少しずつ下がり、妊娠前の平常値に近づいていくことが多いです。ただし、妊娠後期まで若干高めの状態が続く方もおり、一概に「何週で下がる」とは言い切れません。
体温計の測定値が多少上下することは珍しくありません。数日単位のトレンドで見ることが大切です。
よくある体温に関する疑問
体温が少し下がってきた。大丈夫?
妊娠初期に体温がわずかに下がることがあり、心配される方は少なくありません。ただし、0.2〜0.3℃程度の日々の変動は、測定タイミングや室温、睡眠時間などによっても起こりえます。
体温の低下だけで状態を判断することは難しく、他に気になる症状(出血、強い腹痛など)がなければ、次回の健診で医師・助産師に伝えてみましょう。一人で抱え込まず、気軽に相談することが大切です。
37℃台の微熱が続いている
妊娠中に37℃前後の微熱感が続くことは、プロゲステロンの影響によるものとして一般的によく見られます。ただし、感染症による発熱と区別がつきにくいこともあります。
以下のような状況がある場合は、産婦人科や内科に連絡・受診することをおすすめします。
- 38℃以上の発熱が続く
- のどの痛み・鼻水・せきなど風邪の症状を伴う
- 強い倦怠感や頭痛がある
- 排尿時に痛みや違和感がある(尿路感染症の可能性)
基礎体温の測り方を改めて確認したい
基礎体温は「目覚めてすぐ、起き上がる前に、毎日同じ時間帯に」測ることが基本です。測定のタイミングがずれると数値がぶれやすいため、記録の参考値として活用する際は条件をそろえることを意識しましょう。
口腔体温計(舌下)を使用する場合は、舌の裏側に当て、しっかり口を閉じた状態で測ります。わきの下で測る体温計は基礎体温の把握には不向きです。
医療機関に相談・受診すべきサイン
以下に該当するときは、自己判断せず産婦人科に連絡・受診してください。緊急性を判断するのが難しい場合は、かかりつけの産婦人科に電話で状況を伝えるだけでも構いません。
- 38℃以上の発熱が数時間以上続く
- 体温が急激に低下し、性器出血や強い腹痛を伴う
- 体のふるえ・悪寒が止まらない
- 胎動が急に減ったと感じる(妊娠中期以降)
上記は一般的な目安であり、不安を感じたときにはいつでも医療機関に相談することが最善です。「これくらいで電話していいのかな」と思わず、気になることはすぐに問い合わせてみてください。
日常生活での体温管理のポイント
記録を続けるコツ
基礎体温の記録は、妊娠の経過観察において医師・助産師に情報を伝えるうえでも役立ちます。スマートフォンのアプリを活用すると、グラフで傾向が把握しやすくなります。測れなかった日があっても気にせず続けることが大切です。
体を冷やさない工夫
妊娠中は体温がもともと高めですが、冷房の効いた室内や冷たい飲食物で体が冷えると、血行が悪くなることがあります。腹巻きや靴下の活用、常温〜温かい飲み物を意識的に摂るなど、無理のない範囲で冷え対策を取り入れてみてください。
睡眠と体温の関係
体温は睡眠の質とも関係しています。就寝前に深部体温がいったん上がり、眠りにつくとともに下がる流れが、良質な睡眠につながるとされています。妊娠中は寝苦しさを感じやすい時期もありますが、室温調整や抱き枕の活用など、できる範囲で睡眠環境を整えることが体調管理にも役立ちます。
まとめ
- 妊娠中に高温期が続くのは、プロゲステロンの作用によるもので、一般的によく見られる変化です。
- 高温期の体温は個人差があり、37℃台であっても妊娠中の正常範囲内であることが多いです。
- 妊娠12〜16週ごろを境に体温が落ち着いてくることが多いですが、個人差があります。
- 38℃以上の発熱・急激な体温低下・他の症状が重なる場合は産婦人科に相談しましょう。
- 体温の記録は経過観察に役立ちますが、数値の変動に一喜一憂しすぎず、トレンドで見ることが大切です。
- 不安なときは一人で抱え込まず、かかりつけの医師・助産師に気軽に相談してください。
体温の変化は妊娠中の体が一生懸命働いているサインでもあります。正確な情報を手元に置きながら、安心して妊娠期を過ごすための参考になれば幸いです。


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